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ただ後部のデータマンが操縦を担当することもあるし、操縦担当のパイロットが後部座席に乗り込んでデータマンをすることもある。どちらも同じ資格を保有し、どちらを担当しても出来るよう叩き込まれる。
それでもここ五年、藍子と祐也はこのスタイルで『機追隊』の任務をこなしてきた。
コックピットに『ピコン、ピコン』と『認識通知音』が響いた。
「くっそ、来やがった。中央官制からの通知!」
横須賀にある中央官制センターが全海域空域界隈で察知した領空接近物を確認した時に、上空をパトロールする『ジェイブルー』に通知するものだった。
さらに横須賀中央官制センターからどの機体が国籍不明機を追跡するかの指令も届く。
レーダーを確認すると指定位置が自分たちの飛行位置と近い。
「たぶん、私たちだね」
「そうだな。五島列島沖だ。俺たちの機体がいちばん近い。ADIZ(防空識別圏)からすぐこっちに来るぞ」
『こちら中央官制。ジェイブルー105に追跡指令――』
ほら、来た。藍子は操縦桿を握りしめ、ヘルメットに装着しているヘッドマントディスプレイに映るデータを目で追う。
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