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第一話
高知県、斗沼市。某日の夕刻。
顔に無数の掻き傷をつけた男が交番に駆け込み、こう叫んだという。
「ティンダロスの猟犬だ!!!」
そのまま男は口だけでなく耳や鼻、目からも大量の血を噴き出し、息絶えた。
男は所持品を何者かに奪われており、服すらも剥ぎ取られていたことから、当初は強盗の仕業かとも思われた。
司法解剖の結果、男は肉体を「何か」に食い荒らされたことが分かったが、その「何か」は目撃されておらず、正体もわからなかった。
数日後、今度は女が人気の無い路地裏で、全く同じように怪死を遂げた。
そのまた数日後、斗沼駅付近の踏切にて老人の人身事故が発生。解剖の結果、遺体が電車に轢かれる以前に死亡していたことと、わずかな痕跡だが「何か」に食われた形跡があると判明した。
この連続怪死事件に警察は頭を悩ませ、神奈川県のある探偵事務所に調査を依頼すると決定した。
「赤松探偵事務所」……人智を超えた怪奇現象専門の探偵事務所である。
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