第1話 きっかけ

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「すみません、お先します。」 定時に立ち上がると、同僚がほぉーと、叫んできた。 「なに?今日はデート?」 「そう。と言っても、友達だけどね。」 「愛砂らしいわ。」 はははと笑って、同僚とは別れた。 友人。 それには間違いはない。 今のところ、セックスフレンドなのだから。 きっかけは、私からだった。 彼は私が編集している雑誌のモデルで、撮影の現場にお邪魔した時だった。 「愛砂。彼が、旬人よ。」 同僚に教えられ、彼を見た瞬間、目を奪われた。 なんて、憂いを帯びた瞳をしているのだろう。 それからしばらく、彼から目が離せなかった。
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