第1話 きっかけ

3/10
前へ
/65ページ
次へ
撮影の合間、挨拶をさせて貰った。 『旬人さん、初めまして。gentlemanの編集をしております、若松と申します。』 『高柳旬人です。宜しくお願い致します。』 髪を金髪に近いくらいに染めて、耳にピアスも開けて、およそ真面目から遠いと思っていたのに。 彼から出てきた言葉は、真面目な言葉と、リアクションだった。 『今、おいくつなんですか?』 『23になりました。』 『モデルはいつから?』 『5年前からです。』 『あら、私も社会人5年目よ。同期なのね。』 そう言うと旬人は、笑っていた。 『歳、いくつなんですか?』 『私?27よ。』 『大人ですね。』 そう言った笑顔も、可愛いものだった。 『今日、撮影が終わったら暇ですか?』 我ながら、よく聞いたと思う。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加