そして、君に恋をする

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「どこ行きたい?」 「……どこでもいいけど。」 「また、そういう風に答える。全部俺が決めたら楽しくないだろ?」 「……別に。」 「何食べたい?何がしたい?どこ行きたい?」 「…うっ…」 「何?」 「…倭に決めて欲しい病が…」 「お前な。…ったく。」 …だって、本当に何でもいいしどこでもいい。 一日中遊ぶってこと自体、出来ないんだもん。 それだけでどんなに嬉しいか。 忙しいアイドル。 郊外で暮らす私。 たったそれだけでも、時間はかなり制限される。 この人は自宅に私を呼びたがらない。 私が芸能人を避けていることを知っているから。 ここが安全に会える場所だと分かっているから。 …疲れているのに、頑張って時間を空けて会いに来てくれる。 「周音。パスポート持ってるよな?いっそ、海外でも行くか?」 「………え?」 「どうせなら、こうやって手を繋いで歩きたい、だろ?」 …手、キタ。 それが私の手と重なって。キュッ。 心臓、ドキン!ってなっちゃった。
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