仮面

3/10
前へ
/10ページ
次へ
 電車は、僕が駅に着いたと同時に発車してしまった。カンカン鳴っていた警報器が止まり、踏切は再び自動車や歩行者が主役になった。  学生たちの波に逆らうように、僕はホームをのんびり歩き、ベンチに座った。次の電車まで、あと二十分。田舎のローカル線なんて、これが普通だ。  辛うじて雨をしのげる屋根があるだけの吹きさらしのホームで、他に乗客のいないホームにただ一人。そう、僕は一人。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加