仮面

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 ようやく次の電車が来る頃には、僕を含めて乗客が四人になっていた。老夫婦一組、二十代くらいの若い女性が一人、大学生と思われる男性が一人。僕は、彼らを冷めた目で見ていた。  通勤、通学のピークを過ぎた電車の中は、一人暮らしの家の冷蔵庫のように寂しくなっていた。  動き出した電車に三十分程揺られ、降りた駅で別の電車に乗り換えた。さらに二駅、六分程乗ったところで僕は下りた。  僕の自宅がある何もない街とは違い、駅ビルはあるし、飲食店も娯楽もたくさんある。人も多い。
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