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一見すると、線の細い、繊細な美青年。
白無地のリネンの七分袖のシャツは地味ではあったが、青年の外見の派手さを中和するにはベストな選択肢だった。
日本人離れした白皙に、襟足まで伸びた、さらさらの栗色の髪。
睫もエクステしているのかっていうくらいに長い。
童話の世界の「王子」そのものの容姿だというのに、態度は横柄で、口も悪いのだから、勿体ないというか……確信犯というか……。
(まあ、まだお若いようだし、見た目が変に良いから、周囲に対して尖るのは理解できるけど)
だが、これ以上、彼の毒舌の被害に一花は遭いたくなかった。
「なんだ。さっきから、とっとと帰れって、そればっかり。恩人に対してひどい態度だな」
「はあっ?」
やっぱり、口を開くと、ろくなことを言わない。
ひどい態度なのは、どっちだというのだ。
(……て。あらあら、いけない、いけない)
こんなところで、十歳以上も年下の子供にキレてどうするのだ。
一花が怒りをぐっと飲みこんだところで、美代がそれを見計らったように、間に入ってきた。
「ごめんなさいね。孫はこちらに今日来たばかりで、疲れているのですよ」
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