1、レモングラスのハーブティ

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 青年の視線は、庭の一角に向かっている。  母屋から少し遠い、離れの下に植っている青々とした草。  祖母が育てているレモングラスがどれなのか、彼には分かっているようだった。 「あら、貴方、分かるのね? そうよ。あそこのレモングラスをトッピングしてみたの。香りが楽しめるでしょ」  美代は更にテンション高めに身を乗り出した。  ハーブの話ができる若者に、感動したようだった。 (へえ……。あれがレモングラスっていうんだ)  一花は園芸、料理共に、まったく知識がない。  残念ながら、プレゼントで貰ったアロマオイルの中に、名前だけは聞いたことがあったレモングラスも、一花には、伸びきった雑草にしか見えなかった。 「虫よけに植えているんだけど、香りが良いし、身体にも良いから、お茶にしてみたの。宜しかったら、お代わり、どう?」 「ぜひ」 「ちょっと、おばあちゃん」 「ほら、いっちゃんも飲んで。すっきりすると思うから」  透明の耐熱カップに注いだお茶を、一花に差し出すと、お代わり分を作るべく、台所の方に引っ込んでしまった。  あの様子だと、ついでに化粧直しもしてくるかもしれない。  …………分かっている。  美代は、純粋に嬉しいのだ。
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