1、レモングラスのハーブティ

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 人好きな祖母は、賑やかなことが好きだから。  イケメンなら、尚のこと……。 「あー……じゃあ、私も祖母の手伝いに行って」 「ばかっ」 「ばか?」 「最低だな。馬鹿を馬鹿と言って何が悪いんだ」  初対面の年下男子に、突然、バカを三度も連呼されてしまった。  最低なのは、そっちの方だろう。 「君はいいから寝てろよ。今日は暑いし、部屋の中で適度に冷房効かせて、休んでろ。そんなんでまた、うろうろしたら、また倒れるぞ。頭打ったら、どうするんだ?」 「いや、だから、もう大丈夫ですって。元々、貧血持ちですし、こういうのよくあることなんで」  怒鳴りつけてやりたいのに出来ない、一花の苛々は、むしろ、距離感をとるための丁寧語に変換されていた。  一花は不機嫌になると、言葉遣いが丁寧になってしまうのだ。  社畜時代のささやかな抵抗として、磨いてしまった無駄なスキルだった。 「あのなー。そんなに重度な貧血ってわけでもないだろ。もし、そうだったら、薬くらい持っているはずだ。さっきお祖母さんに聞いたら、そんな薬は飲んでいないようだって、言っていたぞ」
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