1、レモングラスのハーブティ

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「このお方は、こちらより上の別荘に滞在中の日色(ひいろ)統真(とうま)さまでございます。私は世話係の清涼路(せいりょうじ) (たすく)と申します。統真さまのこの態度に、理由がないわけではなく、まず貴方の方から名乗って欲しいという身勝手な意志表示なので、お気になさらないで下さいね」 「ああ、そうでした。すいませんでした。私は(あかね) 一花(いちか)と申します」 「アカネ……。ははっ、アカネか」  統真は小馬鹿したように、冷たく笑った。 (一体、コイツ、何なのよ。私の何が気に入らないわけ?)  珍しい名字だから、面白かったのだろうか?  全国のアカネさんに謝ってほしかった。 (そうよ。どうせ、全部、図星よ)  一瞬で見抜かれるくらいに、薄っぺらい自分だ。  何もかも、嫌気が差して、自ら手放してしまった。  もはや、しんどいのは、体調のせいなのか、精神的ショックによるものなのか、一花には分からなくなってしまった。  
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