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「このお方は、こちらより上の別荘に滞在中の日色統真さまでございます。私は世話係の清涼路 侑と申します。統真さまのこの態度に、理由がないわけではなく、まず貴方の方から名乗って欲しいという身勝手な意志表示なので、お気になさらないで下さいね」
「ああ、そうでした。すいませんでした。私は茜 一花と申します」
「アカネ……。ははっ、アカネか」
統真は小馬鹿したように、冷たく笑った。
(一体、コイツ、何なのよ。私の何が気に入らないわけ?)
珍しい名字だから、面白かったのだろうか?
全国のアカネさんに謝ってほしかった。
(そうよ。どうせ、全部、図星よ)
一瞬で見抜かれるくらいに、薄っぺらい自分だ。
何もかも、嫌気が差して、自ら手放してしまった。
もはや、しんどいのは、体調のせいなのか、精神的ショックによるものなのか、一花には分からなくなってしまった。
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