2、赤い花

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 更に、最悪なことに、最初のデートの現場を、職場の後輩に目撃されていたらしく、勝手に、一花は『結婚間近』だと噂を流されてしまった。  別に付き合っているつもりもなかったから、職場の皆に黙っていたのが更なる不幸の連鎖を招き……。  一花と自分は『結婚できない者同士』と連帯感を深めていた職場のお局さまが、自分だけ除け者にされたと逆恨みをされて、ハブられてしまった。  事情をすべて説明しても『お幸せに……』と嫌味を返される日々。  諸悪の根源になりつつある後輩男性に、窮状を訴えたら、どういう訳か、一花が彼を手酷くふったと吹聴されて、一層職場での立場が悪くなってしまった。  人間関係なんて儚いものだ。  片方の人間が自分に興味を持たなくなれば、あっけなく崩壊する。  お局さまに、嫌われてしまったのだ。  次の契約更新はないだろうと悟った一花の緊張の糸はぷっつり切れて、抜け殻状態で仕事を辞めた。 (私は、普通で良かったのに……)  普通の体調と、普通の職場、普通の彼氏と結婚して、平穏に生きていけたのなら、それで一花は幸せなはずだった。
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