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「むしろ、おばあちゃんのおかげで、助かったんだから! これから、お世話になります。おばあちゃん」  にっこり微笑んでみたが、上手く笑えなかったかもしれない。 (暑い…………)  笑顔が凍りつく暑さだ。  バスを降りて数分も経っていないにも関わらず、一花は早くも、容赦なく降り注ぐ直射日光に、身体が溶けそうな感覚と吐き気を覚え始めていた。  都心より、断然葉山の方が涼しいはずなのに、早速倒れそうになっているのは、一花の虚弱体質のせいだ。 (どうして、私、いつもこんななんだろ……)  気持ちは前を向こうとしているのに、体が動いてくれないのが、いつも最悪だった。 「みっちゃん?」  美代は勘が鋭い。  眉間に皺を寄せながら、一花のキャリーバックを引いてない方の手を取った。 「冷たい手だわ。クーラーで冷えちゃったのかしら? 大丈夫? 顔色も悪いし」  「あっ、ああ……。いつもの貧血よ。たいしたことないから」  心配を掛けたいわけではないが、本音はしんどい。  やって来た途端、申し訳ないが、一花はすぐにでも、どこかで休みたかった。 (スマホでの地図検索では、おばあちゃんの家は、バス停からすぐだったはずだわ。早く行って、休ませてもらえば良いのよ)  一花の荷物を持ってあげると、気遣ってくれる美代に、やんわりと遠慮しながら、平日の交通量の少ない道路を横断して、山側にある美代の自宅を目指すことにした。   「葉山は久々に来たけれど、海は綺麗だし、自然いっぱいで、すごく良いところね」  
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