2、赤い花

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「ねえ、おばあちゃん、この庭に真っ赤な花ってなかった? 私、昔、その花がとても好きで……」  洗濯物を終えた一花は、居間で食器を洗っていた祖母に問いかけた。 「ん? 赤い花って? 百日紅のこと?」 「違う、違う。もっとこう……真っ赤で」 「ゼラニウムなら、離れの近くに植えているわよ。今は暑さで弱っているけれど」 「ゼラニウム……かあ。うーん」  その花のことなら、以前、住んでいたマンションの近くにも植わっていたから知っている。  しかし、一花がここで見た真っ赤な花は、ゼラニウムではなかったはずだ。  夜に咲いていた。  真紅の…………。 「他に赤い花って、植わってないかな?」 「じゃあ、ハイビスカスとか?」 「だいぶ違うなあ」 「じゃあ、今はないわねえ。彼岸花だったら、いっちゃんだって分かるだろうしね。昔は何か植えていたかもしれないけど? 何だろう? コスモスはピンクと白だけだったし……紫陽花もピンクで……うーん…………」  腕を組んで、必死に考えている美代に、一花はなんだか申し訳なくなってしまった。
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