2、赤い花

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「いいのよ。おばあちゃん。別にたいしたことじゃないなから、そんな必死にならないで。ぜんぜん、気にしないでいいから」 「そう?」 「庭の花を見ていたら、昔のことを少し思い出しただけよ。おばあちゃんの庭、ハーブの香りがして、とても気持ちが良いんだ」 「あっ、そうだわ! いっちゃん!!」  一花が『ハーブ』と口にした途端、美代が手で口を覆った。 「いっちゃん、昨日のお茶、不味かったでしょう?」 「えっ?」 「おばあちゃん、昨日のハーブの量、すこーし、間違えちゃったのよ。朝、自分で飲んでみて、びっくりしたの。最初におばあちゃんが飲んでいれば良かったわねえ。いつも通り作ったつもりだったから、大丈夫だって、思いこんじゃって。別荘のお二人にも申し訳ないことしちゃったわ」 「…………そうだったんだ?」  そこまで、不味いとは感じなかったが、少し苦いとは思った。  美代にとっては、昨日のお茶は失敗だったのだ。  ……それなのに、統真はお代わりまでして、飲んでいた。 (アイツ、変なの……)  口うるさそうな青年だったから、不味かったら、真っ先に指摘しそうな気がするのだが……。
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