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「いいのよ。おばあちゃん。別にたいしたことじゃないなから、そんな必死にならないで。ぜんぜん、気にしないでいいから」
「そう?」
「庭の花を見ていたら、昔のことを少し思い出しただけよ。おばあちゃんの庭、ハーブの香りがして、とても気持ちが良いんだ」
「あっ、そうだわ! いっちゃん!!」
一花が『ハーブ』と口にした途端、美代が手で口を覆った。
「いっちゃん、昨日のお茶、不味かったでしょう?」
「えっ?」
「おばあちゃん、昨日のハーブの量、すこーし、間違えちゃったのよ。朝、自分で飲んでみて、びっくりしたの。最初におばあちゃんが飲んでいれば良かったわねえ。いつも通り作ったつもりだったから、大丈夫だって、思いこんじゃって。別荘のお二人にも申し訳ないことしちゃったわ」
「…………そうだったんだ?」
そこまで、不味いとは感じなかったが、少し苦いとは思った。
美代にとっては、昨日のお茶は失敗だったのだ。
……それなのに、統真はお代わりまでして、飲んでいた。
(アイツ、変なの……)
口うるさそうな青年だったから、不味かったら、真っ先に指摘しそうな気がするのだが……。
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