2、赤い花

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「どうしよう。いっちゃん、何かお詫びした方が良いかしら?」 「別に、いいんじゃないかしら? 美味しいって飲んでいたわけだし」 「でも……」  納得がいかないらしい、美代は再び「あっ」と大声をあげて、手をぽんと叩いた。 「ああ、いっちゃん。おばあちゃん、良いこと思いついたんだけど、おばあちゃんの特製「おはぎ」。これを持って行ったら、日色さんも喜んでくれるかしら?」 「…………おはぎ?」 「いっちゃんが来るからね、餡は多めに作っておいたのよ」 (虎の子のおはぎ……か)  たまに顔を合わせる時、いつも美代は一花に手作りのおはぎを土産に持ってきてくれた。  亡くなったおじいさんが好きで、美代はいつも何かあると、大量に作っていたのだ。  しかし、好き嫌いもあることだし、わざわざ持っていく意味はあるのだろうか……?   「いっちゃんもお世話になったことだし」 「…………そ、そうね」  それを指摘されると、一花も弱い。 「このまま、料理下手のおばあちゃんって思われたくないしね。いっちゃんの体調さえ良かったら、これから作るから、上の別荘まで持っていってくれないかしら? 当分、滞在する予定だと仰っていたから、今日もいらっしゃるでしょう」 「じゃあ、おばあちゃんも一緒に行って……」 「だ、駄目よ! おばあちゃんは、今回は留守番で……ね?」 「へっ?」 「だって、本当は、日色さん、怒っていたかもしれないじゃない?」   美代が、頬を赤く染めて、もじもじしている。  どうしてか、そういう部分は、乙女らしい。 (お母さんと、こういうところが亀裂の入った原因なんだろうな)
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