【 第九話: 大物プロデューサー松本 】

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【 第九話: 大物プロデューサー松本 】

 次の日、俺が一人でお風呂に入っている時に、俺のスマホが鳴った。  その日、サリーだった彼女は、鳴っている俺のスマホの電話に出た。 『ピリリリリリ……、ピリリリリリ……』 「はい。佐藤です」 「あぁ、サリーくんかね?」 「はい。サリーです」 「プロデューサーの松本だが、どうだね? 結論は出たかね?」 「えっ? あ、あの、何のことでしょうか?」 「えっ? 君、昨日話した件だよ」 「昨日話した件? …ですか?」 「君、憶えてないの? 僕が昨日言ったことを?」 「あ、はい……」 「き、君、大丈夫かね、昨日僕が言った次世代アイドルとしてデビューさせるっていう件だよ」 「えっ? 次世代アイドル? ……ですか?」 「そうだよ。本当に憶えていないの?」 「あっ、い、いえ。憶えています……」 「君、おかしな事を言うね……。で、了承はするのかね?」 「は、はい。お願いします」 「アイドルになりたいんだよね? 未来の次世代アイドルに」 「あ、はい」 「よし。分かった。これで決まりだ。今日契約書を交わすから、今からこっちに来てくれるかな?」 「はい、分かりました。伺います」  サリーは、その時、俺が大物プロデューサーの松本と、次世代アイドルの話しをしているものだと思っていたようだ。  それで、咄嗟にアイドルとしての契約を受けることにしたのだと思う。  マジカの気持ちを知らないまま……。 「おー、サリーくん。来てくれたか。さあ、ここに座って」 「あ、はい」 「これが契約書だ。それを読んで、ここにサインして」 「分かりました」 「これで、君も次世代アイドルとしてデビューが確定する。今の君の人気だったら、売れるのは間違いない」 「は、はい……。ありがとうございます」 「安心したまえ。私が保証するよ。君の未来は明るい。ヒットは間違いない。私の長年の勘だがね」 「松本さん、書きました」 「もう、曲も詩も完成しているから、少しボイストレーニングをして、すぐにレコーディングだ」 「はい。お願いします」 「旬の時期を逃してはいけないからね。ところで、これから僕の家で、少し飲まないかね?」 「あ、私、家に帰らないと……」 「まあ、いいじゃないか。少しくらいなら。な、いいだろ。」 「でも……」 「君、アイドルになりたいんだろ? 色々とアイドルの極意も教えてあげるよ。少しくらいいいだろ?」 「じ、じゃあ、少しくらいなら……」 「よし。決まりだ。それじゃあ、行こう」  サリーは、その大物プロデューサーの松本の家に連れて行かれた。
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