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【 第一話: 写真コンテスト 】
ある朝、俺のスマホに一本の電話が入った。
寝起きの俺には、それは衝撃的な電話内容だった。
「も、もしもし……、『佐藤』です……」
「もしもし、先日はどうもありがとうございました。レンタル業者のカメラマン『赤木』です」
「あ、先日はどうも……」
「あの時撮った写真の件なんですけど…」
「あ~、あの浴衣姿を撮ってもらった写真の件ですか?」
「はい。あの時、『写真コンテスト』に応募されるということで、結果が出まして、何とその写真が『大賞』に選ばれました」
「え、大賞……? え、えぇーー!? た、た、大賞ーーっ!?」
「はい。見事、大賞に選ばれました。おめでとうございます」
「えぇーーーーっ!? ほんとですかぁーー!?」
「本当です。あのかわいらしい彼女さんの写真が見事に選ばれました」
「そ、そ、そんなことってあるんだぁ……」
「はい。あるんですね……」
「そ、そうかぁ~」
「そこで、主催者から、賞金と副賞が授与されますので、今度の日曜日に上り坂ホールへ来て頂けますか?」
「えっ? 上り坂ホール? そんな大きなホールでやるの?」
「はい。この写真コンテストは、スポンサーが大きいですので」
「そ、そうなんですね……」
俺は、てっきり町の小さな『写真コンテスト』だとばかり思っていたのだが、どうやら違っていたようだ。
俺はその時にカメラマンが以前言っていた言葉を思い出していた。
「(もし、大賞に選ばれれば賞金も出ますし、モデルの道もあるみたいですよ……)」
俺は恐る恐るカメラマンに聞いてみた。
「あの……、以前、モデルの道もあるって言ってましたよね……?」
「はい。その点聞いてみたのですが、どうやらスポンサーからCMの話まで出ているって、言ってました」
「えっ!? し、し、CMーーっ!?」
「はい。そうみたいです」
「し、CMって、て、テレビのCMのことですかぁー!?」
「はい。テレビのCMです。」
「あ、あわわわわ……」
「大丈夫ですか?」
俺はカメラマンの言葉に、完全に気が動転していた。
「は、はぁい……、大丈夫れすぅ……」
「私も、うれしいです。自分の撮った写真が大賞を受賞出来て。ありがとうございました」
「は、はぁい……」
俺はその後カメラマンと話したことは、あまり覚えていない……。
それほど、俺にとって、思いがけない驚きの知らせであったからだ。
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