【 第五話: 授賞式③ 】

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【 第五話: 授賞式③ 】

 ステージ上で、彼女がニコッとはにかみ笑いをすると、またしてもフラッシュの雨あられ。  彼女が輝いていたのは事実だが、俺は言いようも無いほど、落ち込んでいた……。  どうして、サリーに前もってこの授賞式のことを言っておかなかったんだろうという反省をしていたのだ。  マジカであれば、多少の心の準備が出来ていたと思うので、うまく対処出来たと思うのだが、  何も知らされていないサリーとしては、もうどうしようもない状態になってしまってもしょうがないことだった。  俺はそんな自分を恨むのと同時に、サリーに申し訳ない気持ちで一杯だった。  俺はこの時、猛省していた。  授賞式と写真撮影が一通り終わると、サリーはスポンサーに呼ばれて別室へ移動したようだった。  サリーが入り口のロビーへ現れると、また一斉に記者や、カメラ小僧たちが写真を撮りまくっていた……。  全てに解放されて俺のところにサリーが戻ってきた時には、外はすっかり暗くなっていた。 「サ、サリー、ごめんね……。俺、授賞式のこと何も言ってなくて……」 「ううん。大丈夫。最初はビックリしたけど、後でそういうことかって、理解出来たから」 「本当にごめんよ。サリー……」 「大賞受賞もビックリしたけど、CM出演の話もビックリしちゃった……」 「スポンサーさんに、何か言われた?」 「うん。CM頑張ってって」 「そ、そうか、CM出演の話は無くなってないんだね?」 「うん。でも、よく分からない。サリーは別に無くなってもいいと思っているから」 「そうか……、家へ帰ろうか」 「うん。帰ろう」  俺はサリーに申し訳ない思いで一杯になりながら、サリーと家に帰るため電車に乗った。  電車の中では、サリーと少し距離を置きながら、窓の外から流れる夜景を、俺はぼんやり見つめていた。
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