短編小説特集

ウィルス

2020年4月頃、日本に新たなウィルスがやってきた…。

それは肺に障害を起こすウィルスだと発表だったが後遺症で脳梗塞になる可能性もある恐ろしい病だ。
他にも色んな症状が次々発表される。

日本は恐怖する。
いや、全国に広まり世界中がこのウィルスで混乱を招いた。

前代未聞の緊急事態宣言、不要な外出を控えるよう求められる。

仕事をクビになり今日の食事も賄えない者や飲食店を閉め経営が難しくなり自殺者も出てきた。

一方、詐欺も増え不運は止まらない。

俺は大学生でバイトが居酒屋だった為、緊急事態宣言中は店を閉めると言われ休んでいる。
まあ、少し貯金があるのでそんなには焦っていなかった。

俺はいつもの様にコンビニに食材を買いに行く。
もちろんマスクを付けて。

中に入ると自粛前と何も変わらない風景だ。

適当に弁当を買って帰る。

その帰り、ふと、自販機に目をやるとそこにはブランド品の使い古した茶色い財布が落ちていた。

しばらく財布を眺め周りを見渡すと

誰も　居ない…。

そっと広い中を開けると9万3千円が入っていた。

免許証を見ると冴えない男の写真がこちらを見ている。
住所は隣の市のようだ。