まだきみがいた

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  わたしの仕事の大半は脳味噌の要らない単純作業だ。  大学生になっても特にしたいことの無かったわたしは、企業の名前と福利厚生などの条件で会社を決めた。  惰性で勤め続け、今年でもう8年になる。  あまりの無味乾燥さに嫌気がさしたり、虚無感に襲われる日々だ。  ただ、この仕事にも良い面もあった。  それは、悲しみに塗れていたときの散漫な集中力でも、まったく支障をきたさなかったこと。  この時ばかりは、この仕事にも感謝の気持ちが沸いた。  今はもうそれは無くなった。ただ嫌なだけ。  この事実に気づいて更に嫌になる。  
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