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うわーーーーーっ!!!! おばけだーーーっ!!!! と、叫びたい気持ちがあったが、必死に両手で口をふさいだ。
息を飲む音で、鳩麦さんがこちらをにらんだ。
『さっき、どうやってここに来たのか、私、少し思い出せたみたいで……。そちらの男性の靴を追いかけて、ここに来たみたいなの……』
透けてはいるが、自分の事を思いだせ始めた彼女は、さっきまでの弱々しい声ではなく、少しはっきりとした喋り方をしていた。
「靴?」
鳩麦さんが、私の靴を見た。非常に非常に年期が入っているが、とにかく名品だ。
「これは曾祖父の靴です。年代物ですが名品なので、磨いて私が履いています」
私は格好付けて、やや流し目で答えた。鳩麦さんは私を無視した。
「では、この本の中に答えがあるかもしれませんから、一緒に探しましょう」
鳩麦さんは、沢山の白い本を私に持たせた。腰が抜けそうになるほど重かった。
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