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ある春の日のことである。
曽祖父の靴を
『整理してたら見つけた。モノはいいから履け』
と言って母に押し付けられた私は、その足で、退屈しのぎのため地元の図書館へと足を運んだ。
いくらなんでも古すぎる靴なのだが、たしかに品質はいい。
だがしかし、右の靴に石ころでも入っているのか、歩くたびにころころとした違和感があり、足の裏が傷んだ。
その痛みはいよいよ図書館に入る前に限界となり、私は辛抱溜まらず靴の踵で三回、レンガ敷きの床を蹴ると、一瞬、視界が回った気がした。
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