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大気圏離脱
ぽーん。
『無事に大気圏離脱しました』
「速いな……」
宇宙に着いたようだが、動物は見当たらなかった。
(隠れているのか? それとも――)
『今回、初のご来遊ということですので、宇宙サファリパークについて簡単に説明を――』
「コッコ。すまないが、宇宙アニマルや星磨きに関する説明をお願いできるかい?」
『かしこまりました。
プログラムを変更いたします。
宇宙には"星磨き"という仕事があって、たくさんの宇宙アニマルが働いています。
彼らは特別な動物で、宇宙に生まれ宇宙で育ちます。
起源や詳しい生態はわかっていませんが、それはデイヴィッドがこれから解明してくれることと所員一同期待しています。
私たちにわかっていることは、みっつ。
捕食などはせず、星からエネルギーを摂取している。
テレパシーによるコミュニケーションが可能。
星から星へ、ぴょーんと飛んで泳ぐように移動する。
これらは今のところ、全ての宇宙アニマルに共通していると考えられています』
「なるほど。で、その特別な動物はどうやって星を磨いているのかな? モップでも持っているのかい?」
『"星磨き"といいましても、実際に星を磨いている訳ではありません。彼らは特別な粉を撒き、空間を輝かせているのです。
粉の輝きは24時間しかもたないため、毎日決まった時間――ちょうど、英国時間の昼から夜にかけて働いています。
粉の成分や性質に関しましては、研究チームがサンプルを採取し分析中です。
宇宙アニマルの中でも、星磨きとして優秀なのが宇宙ミーアキャットです。
彼らは集団行動が得意で、星ごとにチームを作り的確に仕事をこなします。
宇宙アニマルたちからの信頼が厚く、現在1番多くの星を任されており、星ごとにリーダーが任命されていることと、オスだけで磨いていることが特徴的です。
メスは巣穴にいるようですが……ほとんど外に出ないため、観察するのは難しいと思われます』
船の進行方向に、白い星が見えた。水に絵の具を垂らしたように、窓いっぱいに白が広がっていく。
「コッコ、あれは――」
『今ごろ英国では、金星がまばゆい光を放っている時間です。
デイヴィッド、見えますか? 慌ただしく働いている小さな宇宙ミーアキャットたちが』
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