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宇宙ミーアキャット
白い地面(と言っていいのだろうか)に、うごめく複数の点が見えた。アリの行列のようなものは次第に大きくなり、それがミーアキャットであることが確認できた。
船が、その場で停止する。
『今回注目すべきは、プロキオン磨きのリーダーを務める"アロー"でしょう。
アローは、生まれて3ヶ月という若さで一等星のリーダーに選ばれました。
生後3ヶ月であれば、五等星のリーダーを務めるのが定石です』
「アローは異例の大出世といったところか。
……彼らはどのように集団を統率しているのだろう」
ぽつりと零した独言を、コッコが掬いとってくれた。
『彼らの話しを聞くのが1番でしょう。翻訳が可能ですので――』
「お願いするよ」
『かしこまりました。
それでは、翻訳を開始します』
「たいへんだぁ、たいへんだぁ!」
「いそげー、いそげー!」
船内に、子供の声が響いた。
アニメーションのような、読み聞かせのような……なんともオーバーで可笑しみのある話し方だ。
私はペンを倒し、苦笑する。
「1班、おわりました!」
「2班、おわりました!」
「ありがとう! あわわ、じかんが……! 1班と2班のみんなー、5班と6班をてつだってー!」
「「はーい!」」
「「「全班、おわりました!」」」
「みがきのこしは?」
「「「なーい!」」」
1匹の宇宙ミーアキャットがスクッと立ち上がった。
『彼がアローです。宇宙ミーアキャットは他の星にいる仲間と連絡をとる際、あのように二本の足と尻尾を使い直立します』
「クークー、こちらプロキオン。かがやきチェックおねがいします」
「了解した。
……ふむ、問題ないな。アロー、お疲れさま」
「よかったぁ。みんな、ありがとう!」
「「「いえーい!」」」
「なんてこった! アロー、地球はくもりですぜ」
「ですぜ、ですぜ」
「がんばったのにぃ」しゅん。
「地球のヤツら、悔しがってるにちげーねえ!」
「ちげーねえ! ちげーねえ!」
「ボクもくやしい……一等星のかがやき、みてもらいたかったなぁ」しゅん。
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