学者デイヴィッド

1/1
前へ
/10ページ
次へ

学者デイヴィッド

「この翻訳は、コッコが?」 『はい。お気に召しませんか? 紳士モードも搭載しておりますが』 「いや、結構」 (班行動……役割……動きの規則性……) カ、シャシャッ――。 見聞きしたことを頭の中で整理しながら、踊るように万年筆を走らせる。 ふと顔を上げると、宇宙(スペース)ミーアキャットが船のすぐ近くを飛んでいた。 1匹、また1匹。 星から星へと次々移動している。 アローは白い星――プロキオンの、巣穴と思われる小さな暗闇に入っていった。 「宇宙(スペース)ミーアキャットは、こんなに大きな船が通っても驚かないのだね」 「"eggshell" (卵の殻)は、宇宙(スペース)アニマルに見えないよう、宇宙に溶け込む外装になっています。 これにより、自然体の宇宙(スペース)アニマルの観察を可能にしたのです』 「なるほど、それはありがたいね」 『事前に説明があったはずですが』 「ああ、聞いた気もするよ。なにせ、興奮していたからね」 『そうですか。 他の星をご覧になりますか?』 「いや、このままアローを観察させてもらうよ」 『かしこまりました』
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加