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アローの決断
アローたちの観察を始めてから半月ほどが経った頃、プロキオンに危機が訪れた。
「クークー、緊急事態発生、緊急事態発生! プロキオン、応答せよ!」
「クークー、こちらプロキオン。いったい何が――」
「蛇の大群が接近中! ただちに避難を!」
「なんだって?!」
「みんなー、巣穴にもぐって! 蛇だ! 蛇だー!」
「わー!」
「ヤバい! ヤバい!」
「隠れろー!」
シャー!
体を真っ直ぐに伸ばした蛇たちが、星の傍を一瞬で通り過ぎていく。それらは、まるで流星群のようだった。
「クークー、こちら本部。プロキオン隊は無事か?」
「はい。みんな巣穴に避難しました」
「そうか、良かった。
もう大丈夫だ。星磨きを再開せよ」
「了解しました」
「みんなー、出てきて! 星磨きの続きをするよー!」
「「「はーい!」」」
ひょこひょこと巣穴から出てきて、いつものように粉を撒き始めた。
だが、いつもと違うことがひとつ。
きょろきょろクルクル、落ち着きがない宇宙ミーアキャットが1匹いた。
――アローだ。
「大変だ、これじゃあ夜に間に合わない!
他の星から応援を――いや、みんな自分の星で手一杯になってるはず……。
そうだ、マミーたちに手伝ってもらおう!」
「えー!」
「ダメだよ!」
「冗談キツイぜ!」
巣穴から、メスと思われる宇宙ミーアキャットたちが顔を出した。
「そうよ、私たちにはできないわ」
「重要な仕事だもの」
「表に出るなんて……」
「ボクらがやらなきゃ星は輝けないんだ!
星を時間通りに輝かせることがボクらの使命。最優先すべきことじゃないか!」
「そうだけど……」
「でも……」
「大丈夫、マミーたちもできるよ!
いつも巣穴がきれいなのはマミーたちのおかげだって、ボクは知っているんだからね」
「できるかしら」
「どうかしら」
「さあ、時間がないよ。1班と5班はいつも通りに磨いて!」
「は、はい!」
「2班と3班は合同で磨いたあと5班を手伝って!」
「はい!」
「4班と6班は外側を磨いて! 内側はボクとマミーたちで磨くよ!」
「はい!」
「焦らなくていいよ。いつも通り、宇宙ミーアキャットの誇りを持って磨こう!」
「「「はい!」」」
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