girl~名もなき少女の物語~

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お腹が空いた… 何日食べていないんだろう? いつも食料を持って来てくれるジイチャンが来ない。 「ゴホッゴホッ…」 それに咳がずっと止まらない。 身体もダルいし、頭もボーッとして熱があるみたいだ。 そういやジイチャンも咳をしてたな…あの日を最後に来なくなった。 「ゴホッゴホッ…」 外に出てみようかな… この部屋には小さな窓しかない。 背伸びをしても、まだ届かない場所にある。 窓の下にイスを置いて私は外を見た。 歩いている人がいない。 いつもならもっと人がいて車も走ってるのに…。 ジイチャンに外は悪人しかいないから勝手に外に出てはいけないと言われている。 悪人は殺していいんだとも…。 人がいないなら悪人もいないということだ。 「ゴホッゴホッ…」 ジイチャンに怒られるけど外に出よう。 外に出て何か食べる物を手に入れよう。 私は咳をしながらシャワールームに行きシャンプーを手に取るとナイフで容器を半分に切った。 容器の中からシャンプーまみれになった数枚のお札と小銭を取り出して水で洗った。
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