(一)

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 若者は体を起こして受け取った。どこか痛みがあるようなほほえみは、大きなひまわりのような笑顔に変わっていた。そして絵を抱きしめた。 「恋人ですか」 「はい。良くおわかりになりましたね」 「絵を見ればわかります。タッチ、色使い、モデルへの慈愛が感じられたんです」 「本当に、本当にありがとうございます」  郁雄の目から涙がこぼれ落ちた。 「もしかして、その絵のモデルの女性は、もう……」 「……ええ、亡くなりました」  涙をぬぐいながら、郁雄は語り始めた。 「恵美と最初に出会ったのは、高校一年の時です」  若者は、窓の外に視線をやった。 (続く)
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