(二)

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 それまで郁雄は学校内の写生会などで金賞をもらったことはあったが、コンクールに出品しようとまでは考えたことがなかったので少し戸惑いを覚えた。しかし、絵を描くことには変わらないし、「コンクールに出品するようになれば技術も上がるよ」という先輩のアドバイスもあり、受け入れることにした。  本格的に部活動が始まると、彫刻のデッサンなど部員全員で活動する機会も多かったが、個別に制作する時間もあった。恵美はコンクール向けの絵を完成させていった。柔らかなタッチで、油絵なのに水彩画のように淡くて軽い色使いが印象的だった。  中間試験の試験期間が終わる五月末に国際美術コンクールの締め切りがあり、部員全員が何かしらの作品を送った。郁雄も恵美も絵を送った。 (続く)
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