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そんなオデッサに、一つのコンテナがあった。
地面を抉り佇むそれは、採掘施設の廃墟と違い、錆も汚れも少なく真新しい。
これが、元からここにあった物ではなく、第三者によって人為的にここに「落とされた」物だという事は、誰の目にも見て明かだ。
「あれだな………」
そんなコンテナを、離れた場所から双眼鏡越しに見つめる、小さな人影がいた。
名を「エドガー・ザックバラン」。
年齢は15………の割には背が低く、まるで小学生男子のようにも見える。
「誰がチビだゴラァッ!!」
おっと、失礼。
双眼鏡越しにコンテナの周りを見回し、危険な物が見当たらないか確認すると、エドガーは旧大戦で使われたというホバーバイク「ワッパ」に股がり、アクセルを回す。
ヒィィンと音を立ててワッパの機体が浮き、エドガーのハンドル操作に従い、コンテナへ向かって走り出した。
風に靡く、エドガーの防寒ポンチョを、月が照らしていた。
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