電脳闘神ガイッドマンの主題歌

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電脳闘神ガイッドマンの主題歌

 ネットニュースを読んだ数日後の夜、仕事から帰った僕は『電脳闘神ガイッドマン』を配信する動画サイトにスマホでアクセスした。  映画やドラマを見る際、画面が小さいのがスマホの難点だが、25年前の古い特撮番組を見るために、わざわざ大画面の液晶テレビに映す手間など掛けたくない。  スマホに映した動画サイトのサムネイルをタップして再生を始める。  画面では、パソコン内部の基盤や配電盤を思わせる緑色の盤上に、CPUや導線が幾つも並べられた地面が映されている。電気が流れるのを表現したバチバチとした重低音を鳴らしながら、導線の上を白い光が走る。地面の真ん中で噴火が起きたような爆音と青白い発光が起きると、地面から無数の電柱が突き出て来る。電柱は番組のタイトル『ガイッドマン』のロゴを乗せている。大きな『ガイッドマン』のロゴが丁度画面の中央に到着すると、上から落雷が落ちて『電脳闘神』の文字を『ガイッドマン』のロゴの上に掲げた。  なんてカッコいい出だしなんだろう!  番組のロゴが出る演出だけで、僕は童心に帰った。  だが番組は始まったばかりだ。  全身が青いサファイアで出来た、宝玉怪獣キョグレが、サイバーフィールドを構成するCPUやメモリーチップのビルを両手で乱暴に殴り壊し、配線の高速道路を両足で踏み潰して咆哮を上げる!  サイバーフィールドはミクロ世界だ。  宝石で出来た怪獣、コンピューター基盤を都市に見立てた幻想世界。  しかし、素晴らしい円山プロダクションの特撮よりも僕を魅了したのが主題歌だ。  25年後の今聴いても古さを感じさせない、90年代の音楽特有のユーロビートとシンセサイザーが、「サイバーフィールド」と名付けられた幻想世界に見事にフィットするイントロを奏でて、怪獣の特撮シーンを盛り上げる。  全身の毛穴が鳥肌を立たせ、僕の涙腺は緩む。  ガイッドマン!  Ready Go Go Ready Go Go 今行け  男性ボーカリストがヒーローの名前を叫ぶように歌い、コーラスがその後に続いた。  テレビだと短くカットされるから、すぐにAメロに突入する。  WHAT!? 夢が君を突き動かす  WHO!? 君が夢を叶えるのさ  WHERE!? 君は既に立っている  WHY!? 君の心が決めてるからさ  WHEN!? 今しかない!  HOW!?  ガイッドマン!  君の中にヒーローが居るんだよ  ガイッドマン!  君の夢が戦場だ コロシアム!  いつまでも電脳闘神ガイッドマン!  Ready Go Go Ready Go Go 最後まで  ガイッドマン!  Ready Go Go Ready Go Go 諦めるな  オープニングで確認出来た主題歌の曲名は『ヒーローの夢』だった。
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