電脳闘神ガイッドマンの深夜アニメ

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電脳闘神ガイッドマンの深夜アニメ

「……」  30歳過ぎて初めて、夜更かしして深夜のアニメを視聴した僕は『DDDD.ガイッドマン』を見終わると絶句していた。  アニメってこんなにつまらなかったっけ?  アニメをあまり見てこなかった僕にとって、アニメという日本を代表するコンテンツが僕の知らない所で全く違う娯楽として確立していたことを思い知った。  映像は確かに綺麗だ。アナログ放送だった原作のガイッドマンと比べれば、フルハイビジョンで視聴に耐え得るアニメ版は物凄く高画質で絵も上手いし、あか抜けていない未熟な中学生でファッションも古くなった当時の特撮番組に出てきた子役達より、キャラクターの容姿は遥かに洗練されているし、ファッションが古臭いこともない。  若い女性声優が異様に黄色い発声でキャラの声を当てているのは気になるが、それでも台詞を聴いていて、経験の足りない子役達の棒読み演技と比べれば違和感や稚拙さを感じることも無い。  しかし、キャラクターのデザインや声優の演技力など、映像と音声の表向きの部分がいくら優れていても、内面がスカスカで見ていられない。  原作ではいじめられっ子で引きこもりだった猛司は、アニメ版では普通に学校に通っている巨乳の美少女に変えられていた。恨みや妬みから覇王シャアルシファーと組んで悪さを働いていた猛司に対して、アニメ版の悪役の美少女は愉快犯で怪獣を暴れさせているだけで全く同情の余地が無く、人格の深みが欠落している。  ガイッドマン側のヒロインも問題で、やたら短いスカートでナマ足を露出していて、深夜のアニメを視聴するような男の(キモい)オタクにとっては魅力的なキャラクターなんだろうが、原作のガイッドマンのヒロインが第1話から自分も頑張って戦いに参加していたのに対して、このヒロインはガイッドマンの戦いをただ黙って眺めているだけだった。こんな主体性の無いキャラクターの一体何処が魅力的なのかさっぱり分からない。  日本のアニメは、美少女に制服を着せて、ナマ足や巨乳を拝むためのものなのか?  そうか、これはクソアニメなんだ!  僕はそう思って、SNSや掲示板などを検索して番組の評判を調べてみた。  ところがどうだろう。  番組のハッシュタグが付けられた呟きは、どれも番組を絶賛するモノばかり。掲示板もキャラクターが可愛いとか、作画が神だとか、番組を肯定している発言が目立った。  僕はスマホの電源を切る。  売れている漫画やアニメがあればそれを取り上げて、人気なんだと伝えるニュースを見ることがある。  だが僕は、今まで漫画やアニメのオタクにならなかった自分が本当にマトモだったのだと自覚した。  フィギュア買うのやめよう……
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