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2 淫紋を持つ者
この世界で春と呼ばれる季節がきた頃のことだった。
俺のもとに変わった客がやって来た。
そいつは、冒険者ギルドのギルドマスター
凪・スタンフォードと名乗った。
ああ。
こいつも、面白いネタを求めてやってきた変態なのか。
そう思った俺は、いつも通り、椅子に腰かけているそいつの前にひざまづいて奉仕をしようとしたのだが、そいつは、俺を慌てて押し止めると言った。
「いや、そういうサービスは、求めてないから」
「なら、何しにここに来たんだ?」
俺がきくと、凪は、言った。
「君に仕事の依頼がしたい」
「はい?」
俺に奉仕以外の仕事の依頼ですと?
俺は、改めてその男のことを見た。
凪・スタンフォードは、青みがかった銀髪のちょっと渋い感じのおっさんだった。美形と言うわけではなかったが、味のある男らしい顔つきをしていて、何より、服の上からでもわかる全身を覆う筋肉が、ただのお飾りのギルドマスターなどではないことを示していた。
その真面目そうな、いかにも体育会系といった感じの男が、俺に、いったい、何の用があるというのか。
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