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3ヶ月ほど前、俺は、この世界にやってきた。
誘拐されたのだ。
それ以前の俺は、普通の中学の、ただのやる気のない美術教師だった。
その俺が、ある日、突然現れた大男に拐われて、気がついたらこの世界にいた。
どういうこと?
気がついたら、全然、知らない世界に来ていたなんて、ありえないんだけど。
しかも、なぜか、俺は、じめじめした、薄暗い牢屋の中で目覚めた。
そこには、ボロボロの服を纏った薄汚れた人々が大勢閉じ込められていた。
俺が、パニクって、その場に座り込んでいると、見ず知らずのじいさんが話しかけてきた。
「大丈夫か?お若いの」
「ああ・・」
俺は、そのじいさんを見上げてきいた。
「あの・・ここ、は?」
「ここは、王都 春秋京の外にある、妖魔の森の端にある町 苦界にある奴隷商人早瀬の館じゃよ」
はい?
俺は、じいさんをまじまじと見つめた。薄汚れて悪臭がしていたが、普通にいい人みたいに見える。嘘や冗談でこんなことを言う人のようには見えない。
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