1 異世界に連れてこられたんだが、なぜか、奴隷スタートだった件

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奴隷商人って、何? 「お前、言葉、わかるのか?」 「ああ?」 俺が頷くのを見て、じいさんが、言った。 「バカでは、ないんじゃな。わしの言うことは、わかるのか?」 俺は、じいさんの言葉にこくこくと頷いた。じいさんは、満足そうに笑った。 「なら、いい。あまり見かけぬ服装だしどうやら異国の者らしいが、なんか、訳あってここに売られてきたのじゃろう」 売られてきた? ちょっと、待ってください。 じいさんは、俺にかまわず、話続けた。 「まあ、奴隷商人とはいえ、ここは、良心的な店じゃから、そんなに心配することはない。売られるまでは、毎日、飯も出てくるし、週に一度は、風呂にも入れる。後は、よい主人に恵まれることを祈るんじゃな」 そう話してくれたじいさんは、数年前に借金の方にここに売られてきたらしい。以来、売れ残り続け、今では、ここの主になっているのだという。 この国は、龍仙国とかいうこの世界で一番大きくて、古い大国であり、龍の子孫である王が治めているのだという。 俺は、この世界の人間じゃないということを確信した。だが、この国の人々の言葉が理解できた。おかしなことだ。 俺は、なぜ、ここに連れてこられたのか。 俺は、もとの世界では、中学の美術の教師をしていた。もとの世界では、特に熱心な教師であったという訳ではなかったが、そこそこ真面目に生きていた。
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