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それが、あの日。
学校の廊下を歩いていた俺の前に、黒づくめの怪しい大男が立ちふさがり言ったのだ。
「お前を迎えにきた」
その後の記憶は、ない。
いきなりこの牢屋の中に跳んでいる。
何があったんだ?
その時、足音がして誰かがやってくる気配がして辺りがざわついた。
「ここの主が客を連れてきたようだな」
じいさんが言った。
俺は、人々の後ろから牢屋の外を覗き込んだ。
ここの主らしい男は、まだ若い金髪の優男だった。客は、豊かな赤毛の迫力のある美女だった。
「ここにいるのが、最近、入ってきた若い男の奴隷たちです」
主は、言った。
「ですが、あなたの店に相応しいような者は、いないのではないかと」
「いいのよ。今日は、うちの子達の世話をする従者を買いに来たんだから」
なんだろう。
うちの子達?
この女の子供かなんかか?
それより、俺は、これからどうなるんだろうか。まさかの夢落ちとか?
俺は、考えていた。
「おい」
うん?
なんか、肩をつんつんされて俺は、じいさんの方を見た。じいさんが指差す方を見ると、主が手招きしていた。
えっ?
俺?
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