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そうして、俺は、この怖そうな美女に買われることになった。
樹理と名乗ったその美女は、俺を買うと店の外へと連れ出した。
「あたしの店は、この町の外れにあるのよ。そんな大きな店じゃないけど、住めば都、けっこう、いい店よ」
「はぁ」
俺は、女の後について歩きながら辺りをキョロキョロ見回した。見たことのない、町並み。かなりの人が通りを歩いていたし、大きな馬車のようなものも行き交っていた。
この女は、この町の有名人らしく、一緒に歩いている俺を行き交う人々が興味深げにジロジロ眺め回していた。
俺は、27才の独身男だったが、彼女いない歴27年のDTだった。なので、こんな美女に買われてしまって、どうなってしまうのか、と不安だった。
いや、正直に、言おう。
俺は、不安もあったが、期待も持っていた。
なにしろ、これだけの美女が相手だ。
俺は、ドキドキしながら歩いていた。
店って、なんだ?
そこに連れていかれて、俺は、何をされるんだ?
もしかして、この美女にあんなことや、こんなことをされちゃうのか?
俺の頭の中は、中2男子並みの妄想でぐるぐるしていた。俺は、いろいろなことを思い浮かべて、胸を高鳴らせていた。
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