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俺は、ストレス発散のために、樹理が処分しようとしていた書類とペンとインクを手に入れて、それで毎日の日記をつけていた。といっても、イラストというか、マンガ風の日記だった。
題するなら、『異世界に来たけど、奴隷で、男娼の下働きをさせられてます』って感じか?
とにかく、俺は、ガキどものバカっぽい日常とかを風刺画風に描き綴っていった。
それが、ガキどもにばれるのは、時間の問題だった。
俺は、また折檻か、と身構えたんだが、ガキどもの反応は、俺の予想と違っていた。
「なに、これ、面白い!」
ガキどもは、俺の描く男娼館日記を争って読みふけるようになった。
どうやら、この連中は、閉じ込められて暮らしているため、娯楽に飢えていたらしい。
そして、そのうちにガキどもだけでなく、客の連中までが、俺の描く日記を楽しみにやってくるようになっていった。
何?
ここの連中は、みんな、娯楽が少ないのか?
みんな、俺の描く男娼館日記におおうけだった。
しまいには、ガキどもではなく、俺を指名してくる輩まで現れた。
が、俺は、それだけは勘弁してくださいと、樹理に頼み込んだ。
「しょうがない子ねぇ」
樹理は、不満げに言ったが俺に無理強いはしなかった。
俺は、口での奉仕だけという砦を守り続けた。
この外見のおかげか、客も、無理は言わなかった。
全ては、ばあちゃんのおかげだった。
俺は、美少年とかに生まれなかったことを感謝していた。
ありがとう、ばあちゃん!
俺に三白眼をくれて。
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