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「お前、夕飯みたいなヤツだな?」
何気なく――俺から見て“ともだち”の高良和巳がそう言ってきた。
当然、コイツが一体どういう意味でそんなことを言ったのかわからないので、俺はいちごのジャムパンを食べながら頭をひねった。
評された側の俺が無口になっているなら、評した側の高良が話を続ける。これも当然だ。
「朝飯、昼飯ときて、晩飯だ。夕飯って、晩飯っていう時間の前に食べるものじゃん? 気が早いというか。お前って、早弁で昼飯は午前中にさっさと終わっちまって、いま昼休みに食ってるその学食の売れ残りのパンは敗残兵で、夕飯か――」
「おい」
さすがに自分の食事のとり方をおかしく言われるのはどうかなと思ったので、口の中がちょうど空になったところで、俺はヤツの喋りを遮り、言ってやった。
「俺は食事の時間帯が1食分前にズレているのさ。夕飯なんてねえよ。これはもう晩飯だ」
「じゃあ学校終わったらすぐに夜食かよ?」
高良は目を丸くして笑った。
人をからかうような高良の態度は気にせず、俺は事も無げに言った。
「いや。晩飯食ったら、あとは宿題片付けて寝るだけだ。違うか?」
「えっ?」
高良の目が俺を真顔で見た。それから黒板の横に貼られている時間割に向いた。
「お前って……昼と夜の間の時間が特殊だな」
俺はその言葉を否定はしなかった。
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