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ん??照れてる??
(こんなキャラだったか?)
北野は急に南出に対し興味が出てきた
「人数が多い方が楽しいし。峰希も英くんなら呼んでもいいというし」
「そうなの?!峰ちゃん」
「うん!絶対来てね!」
子供たちは無邪気だ
まあ、いいか
いおりが来たら、どんな女が拝ませてもらうぜ
お前がどんなにパーフェクトな女性を過去に選んでいようが、俺の理科子には敵うまい
北野は心のなかで早くも勝利のガッツポーズをした
※※※※※※※※※※※
週末、北野は英と峰希の誕生日プレゼントを買いにでかけた
女の子を持つ会社の同僚からあらかじめ聞いて狙っていた商品を無事に手に入れることができた
しかし、途中で英がうとうとしだしたので、一度ファミレスで休憩することにした
朝からはりきって歩き回ったから疲れたんだろう
去年までは幼稚園生だったのだ
それをこんな小さい体で毎日学校へ行き、勉強や体育をして帰ってくる
疲れないはずがない
学童でも、たまに寝てしまうと連絡ノートに書いてあった
英はそのままソファ席で横になって寝てしまった
周りを見渡しても客はまばらだ
このまま少し休ませてもらおう
北野は頬杖をついてスマホに目を落とした
そのとき、視界に見知った顔が入った気がして、窓の外に目をやった
向かいのビルの前に南出親子が立っていた
今日の用事が用事なだけに、北野は思わず身をかがめた
早く立ち去ってくれと願う北野の思いとは裏腹に、南出親子は立ち止まったままキョロキョロと周囲を見回している
(誰かと待ち合わせか)
息を潜めて成り行きを見守る
そこへ一人の女性が近づいてきて、二人に声をかけた
(いおり)
瞬時にあの名前が浮かんだ
(あれが、いおりか?)
無地の白いセーターに真っ赤なコートを羽織り、この寒いなか、スキニージーンズに高めのヒールのパンプスを合わせるというハイレベルなファッションに身を包んだモデル並みの美人だ
女性と南出が並ぶと、周りが振り返っていくのがわかった
それほどの美男美女だ
峰希にもよく似ている
(南出クラスになるとやっぱりあんな美人と結婚できるんだな)
なんだか虚しくなって、北野は英を揺さぶって起こした
「お父さん…僕寝ちゃってた?」
「ちょっとすっきりしたか?帰るぞ」
「うん」
あの三人がこれからどこへ行くかなど、自分の知ったことじゃない
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