弱り目に祟り目

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前を歩く英と峰希が四方から集まってきた他の児童たちと共に校門に吸い込まれていった 「英のやつ、俺を振り返りもせず行きやがった」 数人の口から思わずぼやきが出る 息子に置いていかれるような錯覚 「もしよければ僕が付き添いましょうか?」 「え?!」 悪態をついていてよく聞いていなかった 「僕も毎朝峰希に付き添ってる形になるんで、英くんも一緒に連れていきますよ」 「いやいやいやいや…」 想定外の提案に即答できない 「こういうことはお互い様ですし」 ※※※※※※※※※※ 「と言ってたぞ。俺は正直驚いた」 夕飯の時に南出の提案を英に告げると、英は目を輝かして喜んだ 「なんで?」 「なんでって…あの鉄面皮がなあ…」 「お父さんは反対なの?」 「いや、反対ってわけでもないけど、よく知らないひとに頼むことでもないだろ」 「峰ちゃんのパパは面白くていいひとだよ!」 「なんで知ってるんだ」 「峰ちゃんの話ではさー」 英は、峰希が夕飯時に父親に笑わされて噴き出した話や、お風呂のなかで替え歌を歌う話などを嬉しそうに語った 「なんだ峰ちゃんからの情報ばっかじゃん」 「まあそうだけどさ」英が言いにくそうに続けた 「でも峰ちゃんのパパ、僕たちの通学路、わざわざ付き合ってくれてるじゃん」 英は時々鋭いことを言う いま思えば、というか、いままで気づかなかったことに驚いた 確かに南出親子は北野家のオリジナル通学路に疑問を挟むことなく付き合ってくれている 小学1年生の峰希でさえ それに… (いつもあっという間に学校に着くから気づかなかったな) 晩酌のビールをすすりながら思った 「お父さんの方が峰ちゃんのパパと仲いいでしょ?」 英の言葉にハッとさせられる 「そう見えるのか?!いつも口論になってるんだけど…」 「うん。僕も峰ちゃんといると元気になるけどさ、お父さんも峰ちゃんのパパといると元気そうだよ」 天使のような笑顔で英がはにかむと、本物の天使に言われてるような気がした 「じゃあ明日からお願いするか」 暗示にかかったように不安が消えた
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