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旦那は今、死の床にいる。
もうとうに、彼に対する愛は冷めていたが、
それを隠して最後まで添い遂げた。
金持ちだからだ。
彼が死ねば、その金は私のものになる。
早く死ね、死ね、死ね、早く死ね。
彼が目を開けた。
「あなた。」
「おまえ、今までありがとうな。
俺はお前と結婚してから、
浮気はするは、怒鳴り散らすは、我儘ばかり言うは、
散々なダメ亭主だったけど、
おまえが嫌な顔一つせずについてきてくれて、本当によかった。
例えば、それが俺の遺産目当てだったとしても、
おまえがいてくれて、俺は幸せな人生だった。
ありがとう。」
そして彼は、息を引き取った。
やめてよ。
それじゃ、私が極悪人みたいじゃない。
言い逃げしないでよ。
あなたから愛されているかもしれないなんて、
考えたこともなかったのよ。
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