偽りの感情

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大学時代のサークルの先輩の乃亜さんは在学中からずっと私に寄り添ってくれた。中高大と同性の友達がいなかった私に唯一寄り添ってくれた女性である。乃亜さんは私のことをずっと受け入れてくれていた。 大学生になってもサークル内でやはり私は嫌われた。いつだったか誰かが「里奈は人に嫌われる才能があるよね。」と言っていたのを聞いた気がする。悔しいけどその通りだと思った。だけど感情は倫理を超えるのだから仕方ないと思う。そうやって生きてきた。あのときも…… 中高大と私は付き合っていた男の人がコロコロ変わった。これまで一番長かった高校時代の彼氏の長田くんが7ヶ月で最長である。7ヶ月付き合ったのに結局「めんどくさい」の一言で切り捨てられた。 あの晩私はわんわん泣いた。涙が枯れるくらいまで泣いて次の日学校に行ったら私が振られた噂が悪意を持ったクラスメイトによって脚色されて広められていた。一方的に私が悪いように作られた噂話には私の身に覚えのないすごく悪いことをしている笹野里奈が登場していた。それでもその日の放課後には別れた噂を聞きつけた他のクラスの男子から告白されて空白期間1日で彼氏を作ったのだから自分でも大したものだと思う。 結局その後も告白されては付き合い、振られ、また次の日には彼氏ができるという不思議なサイクルの中で学校生活を送った。高校入学後8番目か9番目くらいに付き合った彼氏によるとどうやら男子の間で私に告白する順番待ちリストのようなものがあり、振られたという話を聞くと次の順番の子が告白しにくるらしい。リストの子全員が私に告白できたのかは不明だがなかなかすごい話だったとは思う。
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