サンタクロースのころ

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次にその子を見かけたのは、駅前の小さなCDショップだった。 たまたま通りかかった時、あの印象的な長い黒髪を見て、すぐにあの子だとわかった。 同じくらいの背格好の子と一緒に来ているようだった。 「ねえ、ちいちゃん、早く帰らないと、ごはんの時間間に合わないよ。買ってきて、って言われたお遊戯会用のCD見つかったし、急ごうよ」 その子は何かのCDを熱心に眺めていて、連れの女の子に急かされている。 「ねえねえ、これ見て!このピアニストの人のCD。いいなぁ。前にテレビで演奏見てから、ずっと欲しかったの。買えないかなぁ」 「えぇ~。これアルバムでしょ。2,000円とか3,000円とかするから、うちらじゃ絶対無理だって」 女の子はしぶしぶ諦めたようで、友達に手を引かれて店を出ていった。 店に入り、棚に戻されたCDを見ると、何と自分のベスト盤のCDだった。 こんな小さな店にまさか自分のCDがあるとは思いもしなかった。 それに、今まで芸術好きだと言いたいだけの金持ち以外に自分のCDを買う人間がいるなんて、思いもしなかった。 自分のCDをキラキラした目で眺める女の子の姿を思い返すと、何か胸にこみあげてくるものがあった。
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