第一話 幼馴染

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第一話 幼馴染

俺の幼馴染は生まれつき足が悪くて、車椅子に乗って生活している。 性格は明るい奴で、周りの人間とはうまく付き合っていた。顔も可愛いし、男子からの人気もそれなりにあった。でも、恋人はいない。 その原因は、聞かなくてもわかるだろ。 まあでも、本人は別に困ってないし、恋人がいる=幸せって訳でもない。 あいつが毎日楽しく生きてるならそれでいいと思う。 「ねえ、一緒に帰ろ?」 「あー。めんどくせ」 「なんで?」 「どうせ、また押してって言うんだろ?」 「すごい! なんでわかったの?!」 「もう何百回目だよ……」 「あはは。だよねー」 「だよね、じゃねぇよ!」 こいつが乗ってる車椅子は自分でも走れるやつで、日中は一人で好きに行動できている。うちの高校はバリアフリーだし、特に問題はない。そして家までも5分。近い。 にもかかわらず、こいつはしょっちゅう俺に車椅子を押せと言ってくる。なぜだ。電動なんだからピァーっと行けばいいだろ。 ……まあいいけどな。暇だし。
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