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今回はまた特殊な設定の読み物のようだな。
お隣の家の清純なお姉さんの秘密をたまたま知った主人公が、誘われるままついて行ったのが、そのお姉さんがカリスマ女王キャストとして働く職場。平凡な主人公に突如として起きた非日常。話はあれよあれよと進んで、小説としても、青年としても、今佳境を迎えているらしい。
「ダメな下僕ね。そんなにいっぱい汁を滲ませて。我慢の足りない貴方には、お仕置が必要なようね」
女王が脚の付け根を羽根でやんわりと撫で上げる。
心なしか青年のキーを打つ指先が震えている。
ダイレクトに伝わってきた振動に、我も興奮してファンをフル稼働させる。
「そうね、そこにある瓶を下の口で上手にくわえられたら、貴方の粗相を許してあげる」
青年は唾をゴクリと嚥下すると、自分の指を瓶に見立ててオイルを馴染ませ、一思いに後ろへと衝き挿れた。
初めての衝撃に眉根を寄せ、目を白黒させる。すっかり弱った表情で、小さく呻く。
高々指一本突っ込んだくらいで、なんと情けないことか!
我など日々身体中にブスブスとUSB接続されているというのに。
それでも青年は女王様に言われるがままに指をまさぐらせる。苦痛に身を揺らす度に、額にびっしりと貼り付いた珠の汗がキーボードに零れ落ちた。
それに、一旦衰えた青年の興奮もいつしか蘇ってきているようだ。早く楽になりたいと前屈みになり、液晶画面に向かって甘い息を吐きかける。
なんと良い表情をしておろうか。
我もまたファンの風を勢いよく吹かせる。
「初めてにしては上出来。今日のところは許してあげるわ。ご褒美の時間よ」
「女王様……」
「分かったら、こうして後ろも毎日可愛がってあげるのよ」
「お、お言いつけの通りに……」
作中の女王様も従順な下僕にご満悦のようだ。
青年は息も絶え絶えに「女王様は躊躇いもなく踏みしだいた」と打ち終えると、自らの掌を女王様の厚底ブーツごとく平たくし、猛りに押しあてる。あとは容赦なく左右にゴリゴリとしだく。
青年は強烈な刺激にひどく顔を歪めたかと思うと、次の瞬間にはスッキリとした表情で「保存、保存」と抜かりなく記事を上書きし、バスルームへと駆け込んでいった。
濡れた青年の手の感触、青い芳香、これぞエクスタシーーー!
なんというご褒美か。我もしばらくこれを糧に生きていける。
青年の隠れた趣味の実力は分からないが、我はいつでも歓迎するぞ。
それにしても青年は無自覚にUSB接続を欲するということは、アソコの開発に少なからず興味があるのだろうな。素質も十分にありそうだ。
もし我が身に人間のような肉体があったなら、直ぐにでも青年へのUSB接続を協力するのにな。
いや、あれだな。この前、この家に訪ねてきた同僚の数学講師! あれにズブリと手伝ってもらったら良いではないか。我はそう思うぞ。
今日まで騙し騙し生きながらえてきた我とPCだが、今日は殊の外調子が良いみたいだ。
もうしばらくの間、我々はこの青年の官能小説執筆に付き合いたいと思うぞよ。
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