君とてのひら

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「ふぅん、まぁいいんじゃないの?」 全然納得してない感じで返してくる。この間俺は一切話してない。ちょっとイラっとしながら場に身を任せた。 「3日間いる予定? 私は3日間滞在予定よ」 「もちろん3日間いるつもりさ、妻にフェスタを見せてやりたくてな」 「ふぅん」 男は笑顔だけど、俺の話題が出るたびになんとなくピリついた表情をしているように見える。 「満喫した方がいいわ、せっかくのフェスタだしね」 結局夫にだけ心からのスマイルを向けて、ひらひらと手を振った。 「あ、ねぇ、彼も3日間いるのよ、どこかで会うかしれないわね」 そして踵を返した背中越しに、軽く俺に目をやりながら言って去っていった。 その背中がすっかり見えなくなってから、腹の底に蓄積していたイライラが夫に向いた。 「なぁんだよアイツ! お前の友達っ?」 「友達というほど仲は良くない。ただの知り合いだ」 「知り合いにしちゃ随分馴れ馴れしかったじゃねぇかよ!」 彼への愛情をしっかりと自覚してからというもの、彼と俺との間をひりつかせるものに対して、容赦なく口に出して不快を訴えるようになっていた。 「まぁまぁハニー、落ち着け。俺もあんなにぐいぐい来られるとは思わなかったぜ、本当に随分親しげだったな」
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