君とてのひら

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「たくさんの人が来るし、いちいち構ってもいられないからな。とにかくともにフェスタを楽しもう。な?」 「……うん」 しょっぱなから縁起悪い感じだけどまぁいい。ここでつまずいてたら何にもならないし。気を取り直してまたクルーザーの上で風にふかれた。 「ところでさ、珍しいよな。フェスタとはいえ、護衛も誰もつけないでこうやって大勢でクルーザーに乗るなんて。一般人みたいだな」 いつもリムジンだファーストクラスだと窮屈なくらい特別扱いだというのに。こんなに賑やかしく大勢で大移動なんて初めてかもしれない。 「いや、一般人はシャトルバスで1時間の移動だ。安全上の理由から、どこが会場でも来場客用の駐車場は設けていないんだ」 こんな言い方はよくないが、と言いながら返す。 「バス?」 「ああ、空港と港からそれぞれバスが出ているらしい。俺は乗ったことがないからわからないが。いつ乗っても満員で窮屈らしいぜ」 「え、クルーザーじゃねぇの?」 「クルーザーはVIP専用さ。今回はクルーザーだが、会場によってVIP用の専用送迎車両が用意されている」 「……」 結局特別待遇でしたか。ガッカリするのも嫌味ったらしいだろうか。まぁ1時間バスに揺られるよりいいか。
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