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「こんにちは、ようこそフェスタへ!」
お揃いのTシャツを着たスタッフに、笑顔で声をかけられる。会場のリーフレットを受け取る。おお、日本語だ。新鮮。こういうイベントに出かけるときは大体海外なんだから。
「どうも」
それがなんか嬉しくて、ちょっと笑いながら返すと、隣で見ていた彼が「ああいう男が好きなのか?」と顔を覗き込みながら尋ねてくる。そういうつもりじゃないんだけど。
「やっぱ日本だなと思っただけだよ」
「そりゃここは日本だろう、どういう意味だ?」
「まぁ俺の感覚だから気にすんな」
この島はもともとリゾート地として、県をあげて開発を進めている無人島なんだそうだ。おかげで何ヶ所か立派なホテルが見えるし風景も綺麗。ザ・観光地って感じ。
「日本人だけど全然知らなかった、こんなところがあるなんて」
「まぁ、自国とはいえ知らないこともたくさんあるよな」
ホテルだけじゃなくて立派に整えられたキャンプ場もあるという。ただ、残念ながら温泉だけがないという。
「残念だな、温泉に入りたかった……」
新婚旅行以来、夫は温泉の虜になっていた。
「でも、銭湯みたいなのがあるって聞いたから、あとで行ってみよう」
「セントー! そりゃいいな!」
曇っていた彼の表情が明るくなる。
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